「江口佳子」
【目的】
男女共学校・別学校という形態の違いが、その人の男性観、女性観に影響するというイギリスの研究がある。平成元年度の学習指導要領改訂により、高等学校の家庭科教育は男女が共に学ぶ家庭科へと改訂され、従来女子のみが履修するものだった、女子の教科である家庭科を、基本的には男子も同じ立場・条件で履修するようになり、男子女子ともに家庭科観、ジェンダー観は変わりつつある。また、男女共学校・別学校という形態の違いが、その人の男性観、女性観に影響するというイギリスの研究がある。日本においても同様のことが言えるのか否かを明らかにするとともに、現在の高校生のジェンダー観をとらえることを、本調査の目的とする。
【方法】
調査対象: 男子校、女子校、共学校の高校生
調査方法: 調査対象校にて家庭科の時間に質問紙によるアンケート調査
調査時期: 2000年9月〜10月
回収状況: 男子校  1、2年 398名
      女子校    3年 137名
      共学校(公立) 2年 210名
      共学校(私立) 1年 187名     合計932名
質問項目:政治への関心の有無とその理由  
     男性及び女性にとっての自立に関する意識の重要度
     生活実践度
     ジェンダー観
【結果】
・ 政治への関心は全体的には低い傾向にあり、男女別では女子の方が低い。また、男女共学校よりも別学校の方が高い傾向にある。
・ 男性の自立、女性の自立について性別によって異なるとらえ方をしているが、男女どの学校種別も比較的重要度は高い。しかし、性別役割分業に沿った意識の傾向については男女ともにいまだ根強いことが示唆された。
・ 高校生の生活自立に関わるにのまわりや家事の実践度は男女ともに低く、特に男子にその傾向は顕著である。学校種別による差は、男子では男女別学の方が低いが、女子では逆に共学の方が低い。